母親学級 二回目

部屋に入って躊躇した。前回の会議仕様な机組みではなく、机は全て寄せられた広間に、助産士の机とホワイトボードに対し、半円座にずらり椅子が並んでいる。
メガネを忘れたので、一番見えやすい真ん中の席に座った。
文庫本を読みながら始まるのを待っていたのだが、開始時間に顔をあげてみると、空席が3席。うち、2席は私の両隣だ。そんなに人を寄せ付けない空気を出していたつもりはないのだが、「モロッコで断食(ラマダーン)」をカバーも書けずに読んでいたせいだろうか。ただのおもしろ旅行記なのに、知らない人が見たら宗教的な匂いがするのだろうか。それともまさか前回の挨拶がすべったから…


今日は助産士の話。
入院時に必要なもの、病院が用意してくれるもの、などを説明される。
「陣痛で箸もフォークも持てなくなるから、片手で食べられるようなおにぎりとかバナナとか、高カロリーなものを持ってくると良い」というのと、「飲み物はコップが持てなくなるので、ペットボトルに指す長めの曲がるストローを持って来ると良い」というのを聞いて、マラソンの時に用意するものと考えればわかりやすいなと思った。カステラとか持っていこう。もっと水気のあるものの方がいいかしら。


それから体重の話。普通の体型の人で、大体週0.3〜0.5kgまでしか太れない、ということ。
ただ痩せている人は、12kg以上は太ってくださいとのことだった。
つい一昨年だか去年までは、体重は6kg増加までと厳しく言われ、小さく産んで大きく育てよう、
というのが国の方針だったのが、最近、それで生まれてきた子供が生活習慣病になりやすいことがわかり、厚生労働省より、もう少し大きく生みましょうというお達しが出たのだそうだ。


それから入院後、陣痛室から分娩室、分娩後の病室への移動、のフロー。
陣痛室ではアロマをたいたり、好きな音楽CDをかけることが出来るそうだが、個室と2人部屋とあって、希望は出せず、空いている方に入れられるらしい。
自分が全くリラックスできない例えばジャニーズ的音楽がかけられていたら、と思うと、個室に当たるよう祈るばかりだ。


休憩後は、5人組みに輪になって、自分の身に起きたマイナートラブルについてのディスカッション。私のチームは、人の良さそうなおとなしめのちょっと地味めの人が3人と、アジア系外国人と、私だ。コントができそうな絵面だ。
みんなもじもじしているので、自分から「実はつわりがなくて」と言うと、なんと、そこにいる全員ともつわりのない妊婦だった。20%くらいしかいないと言われているつわりなしがこんなに揃うなんて…。マイナートラブルがないので他に話すこともなく、全員「運動したいがどこまでやっていいのかよくわかんない」と言ったり、一人ひどい便秘で外来で薬をもらっている、という人に対してみんなでこれはあれはと言ってみたり(どれも効果なしだったと返されたり)。あとは一人だけちょう怖い初老の女先生がいる、という話でまるで怪談のように盛り上がった(その先生に当たりませんように!)。


決められた時間まで喋った後、各チームを代表して1人が、どんなマイナートラブルがあったか、みんなで教え合った対処法を発表させられた。
我がチームの番になって、やっぱりみんながもじもじしているので、私が代表し、みんなつわりがほとんどなかったこと、頭痛の対処、運動したいこと、便秘の悩みを話した、という話をした。「便秘に関しては万策尽きました」と私が言うと、お悩みが便秘中心だったチームが笑っていた。
せっかく発表したのに、「運動と頭痛に関しては、助産士の範囲ではないので直接外来の時に聞いてください」と言われてしまった。


それから妊婦に良い体操を教わり、終わった。


エレベーターに乗ると、地震が起こって、2階で止まって下ろされた。ぞろぞろと階段を降りて行く妊婦たち。考えてみると、妊婦たちだけがこの建物の中で、希望に満ち満ちた患者なので、その行脚は、シリアスな病院内で、ピンク色の巨大なアメーバが花を出しながら通り過ぎていくような異様さだった。


次回は4月に受講する。ああもうその頃は、出産一ヶ月前だ!