発病

Aと別れた途端、突然脳貧血にみまわれたので、近くのデパートのトイレに入る。
調子にのって人ごみを渡り歩いたせいで疲れたのだろうか。
最近は自覚症状が便秘以外ほとんどないので、つい普段通りに行動してしまうのだが、ある時点で急にHPが0になっていて寝込むという事を繰り返している。どこまで自分の体力が持つのかわからないのだ。


トイレに入って、思わず「うそ」と呟いた。出血している。
鮮血はほんの少しだったにも関わらず、私はかなり動揺し、涙が浮かんだ。
やめてやめてやめて、と唱えながら、大丈夫大丈夫大丈夫と言い聞かせる。
トイレから出ても具合は悪くなる一方、シルバーシートに吹き付ける冷房に震えながら帰宅、少し横になれば治る、とすぐに着替えて眠ったのだが、具合は一向に良くならない。
出血はもうないものの、腹痛がし、次第に全身が痛くなり始めた。
夫が帰宅し、すぐさま生姜のスープを作ってくれてまた眠るが、衰弱する一方で、とうとう目もうつろになり、声も出ず、指で指すのが精一杯という状態に。夫が熱を測ると、7度5分。微熱だ。だが症状はまるでインフルエンザのようだ。
夫がインターネットで調べ「8度5分を越えたり、また出血があったら病院に行こう」と言う。
大根湯を作ってもらうと汗がようやく出て、また少し眠ったが、それ以降は身体の痛みで眠ることが出来なかった。


朝になると、声が出るようになった。夫に、ミネストローネを作ってもらう。
誕生日だったので、夫が私の様子を見ながら、元気になったらおでかけする?と言ってきたので、この分だと出掛けられる、とたかをくくったのだが、スープを飲んだら驚くほど疲れてしまってまた眠った。結局その繰り返しで、どこにも行かず、食欲が出てきたので、夫に頼んでパンと、ゲームを買ってきてもらい、二人で遊んだ。
前日にお土産に買っておいたケーキを食べて、お世話を全部してもらい、考えようによってはいい誕生日だった。


あんなに毎年自分の誕生日を大事にしていたのに、がっかりするどころか、おなかの子が無事で良かったと思えたのだから、私も大人になったというか、陳腐になったというか。